新卒でも既卒でも採用基準で非常に大きい要素といえばコミュニケーション能力かと思います。
が、この言葉、明確な定義がなく、私もいろんな会社でいろんな人と仕事をしてきましたが、明確な言語化がはっきりとできる方にはあまりあったことがありませんでした。
例えば塾スタッフ時代には以下のようなケースがありました。
「単純にルックスがいい(清潔感というよりは若い子ウケする)ため、適当に授業をしていても生徒から親近感をもたれやすく、仲良くなれる。ただ仕事を少しなめているような印象があり、講師間やスタッフからの印象はあまりよくない。情報共有意識も弱い。改善意識は弱いと言うより概念としてもっていない。」
「40代後半男性で主夫業がながかったため、社会人経験がほとんどない。教務知識があるわけでもなく、話があちらこちらにとび、何をいっているかわからず、会話が通じないため、頭が悪そうにみられ、社内でも即ダメ人材扱いされて、早々に売上の小さい教室に飛ばされる。ただ、同年代の保護者と仲良くなるのが非常に上手でその教室の売上の最高記録を数ヶ月で達成。改善意識も高く、あれやりたい、これやりたいと一見突拍子もないがいろいろなアイディアを出す。計画性がなく、仕事の段取りもわるいため、周りの人間は疲弊しているが、アイディア自体は的をえているものもあり、結果として教室の売上に貢献している。」
「論理的で教務知識もあり、パッと見て頭が良さそう。どちらかというと寡黙で無駄なことは言わないが、話などは簡潔でまとまっており、わかりやすい。仕事自体も熱心に取り組んでいるようにみえるが、売上自体は現実にあまりあがっておらず、どちらかというと低空飛行が続いている。」
「教務知識はあまりなく、話も論点がさだまっておらず、二転三転する。論理的な話はどちらかというと苦手で、賢そうにみえるわけではないが、熱い想いははなして伝わってくる。保護者、生徒からの信頼は高く、教室の売上も高い。」
エンジニアとして実際の現場にいた方の中には・・
「いつもニコニコして物腰はやわらかく、表面的な人当たりはいいが、報告・連絡・相談が遅く、仕事自体は非常にルーズ。納期間近に『できていません』『他の方にお願いします』を連発。あまり深く関わっていない人からの印象はいいが、深く組んで一緒に仕事をした人からの印象はすこぶる悪い。」
「基本的な物腰はやわらかく、会議などで改善案を積極的に発言、仕様の検討なども積極的に参加しているが、すこし話が長く、会議が延長することが多い。いわゆる最新技術の知見もあるようだが、いざ作業に入らせると報告・連絡・相談が遅く(ごまかす)、さぼりぐせがあるのか、仕事をほとんどしていないことが発覚。ほとんど戦力にならなかった。」
「印象値は普通で、会議などでも自分から積極的に話すわけではなく、どちらかというと寡黙な印象。ただ遠慮がちなのか、問題点をきくといろいろと話してくれる。こちらから指示しなくても、自分から積極的に報告・連絡・相談をするし、的確でコミュニケーションコストは少なく、仕事が円滑に進む」
「見た目や印象値はやや低い。ただしプロジェクトに関して常に問題意識をもっており、積極的な業務改善案をだしてくれる。仕事熱心で先端的な開発手法などについても勉強しており、情報共有意識も高い。ただし、意見が衝突することが多く、他人の問題点をはっきり指摘したり、正論をはっきりいってしまう。会議中でも人の話をさえぎって話すことがあるため、会議の雰囲気がわるくなることもある。話も比較的長い。」
人によっては上記のようなメンバーはコミュニケーション能力が高いとも低いともとれるかとおもい、能力を定義しておかないと評価が別れてしまうため、ある程度は定義が必要かと思います。
ここではどんなときにコミュニケーション能力が高い、低いとおもったかを自分なりにまとめてみようかと思います。
基本印象値
能力というよりは単純にいい人そう、一緒にはたらきたいとおもえるかどうか、といった表面的な人当たりに当たる部分です。
ただこの部分をコミュニケーション能力ととらえている人もかなり多いのではないかと思います。具体的には
- 笑顔が多い
- 挨拶などがしっかりしている
- 漠然といい人そうに感じる
- 物腰が柔らかい
- 見た目が不潔でない
などでしょうか。
エンジニアうんぬんではなく、どの職種でも共通して大事な能力になり、おそらくこの部分をみない方はいないと思いますし、非常に変えにくい部分なので、悪い人の場合、かえることはほぼ無理です。
ただエンジニアに関しては、極端に悪い人(この人と働きたくないレベルになる方)をはずすという感じで、評価すればいいかなとおもっております。
また類似しますが、見た目はかなり大切です。
エンジニアでもやはり見た目が独特すぎる方などは生理的に抵抗を持たれる方も多いですし、営業の方などは見た目も能力の一部になるかと思いますので非常に重要になってきます。
またこれらの能力はともすればうわべの能力にちかく、この能力が高くても信頼できない人には多々あってきました。
過剰に評価されがちですし、ここだけでとって失敗したケースも多々見ているので、あくまで要素の一部にすべきかと思います。
外見親和性
「清潔感」などの外見と独立させまして、顧客と見た目のタイプが近いかという基準です。
コミュニケーション能力ではないのでは・・・とも思ったのですが、外見のタイプが相手とちかいとそれだけで大きく心理的距離が近くなります。
逆にタイプが全然違うとそれだけで拒絶されてしまいます。
男性社会人はみなさん同じような格好しているので、あまり感じないかもしれませんが、若年層や女性などは見た面の親和性が高いかいなかで「この人が仲間かどうか」を判断するのでこういった方々を顧客にする場合には極めて重要になってきます。
例えば塾講師なんかは(教務レベルが低い場合は特に)正直教える能力よりもこちらの方が重要度は高いのではないかと思います。
言語化能力・論理的思考力
言いたいことが理路整然としており、口頭でも文章でも的確でわかりやすい方です。
テレワーク全盛時代ではかなり重要ですし、この能力が欠落していると会議などがまとまらず時間をロスすることが多いため、人格的に問題がなくてもNGになることが多いです。
- 何がいいたいかがわかりやすい
- 結論から話している
- 話が端的で短い(ダラダラはなさない)
- レポートやドキュメントがわかりやすい
言語化が高いということは情報処理、分析力が高いともいえるかもしれません。
情報の体系化、構造化が得意で、論理的思考力が高い・・ですかね。受験勉強的な学力と相関があるかもしれません。
変えにくくはありますが、「技術」に相当するもので特に若年層であれば訓練でなんとかなるかと思います。
傾聴力・共感力・相手の考えを汲み取る力
営業の人は必須でエンジニアでも要件定義のフェーズなどでは最重要になってくると思います。
- 相手の話を要点を押さえてよく聞く
- 適切な質問を投げかける
- 相手に自分の考えを話させやすくする
- 相手の悩みに真剣に向き合う姿勢
- 相手を気遣う話し方
などですね。先天的なものもあるかもしれないですが、知識に関係する比重も大きいことやある程度場数を踏むことで慣れてくる能力かもしれません。
ざっくりと空気を読む、などという方かもいるかもしれません。
報告・連絡・相談
仕事をふられたときに、
- 自分自身の仕様の認識
- 現在の進捗
- 仕様上、開発上の疑問点
などを随時質問、確認してプロジェクトをすすめる意識があるかないかです。管理意識がゆるい現場の場合、プロジェクトの進捗はメンバーのこの能力にかなり依存します。
正直一般的なSESのメンバーでいいますと、この能力があり、標準的な開発スピードが出せれば十分かとも思います。
プロジェクト貢献意識
コミュニケーション能力とは少し意味合いが違うかもしれませんが、人を見る時に必要な能力の一つなので入れておきました。
報告連絡相談よりも少し上のレベルかとおもいますが、プロジェクト内の問題などを自分でみつけ、改善する意識があるかいなかです。
プロジェクトのみならず自分自身と置き換えてもよいですが・・・
- プロジェクト内の問題点をいろいろと指摘してくれる
- 他人のサポートなどを積極的にしている
- 改善案などをいろいろ出してくれる
- 改善意識が高い、改善行動をしている
- 問題点を指摘しつつも、改善案を出す
改善意識のベクトルが技術要素やプロジェクト要素かプロダクト要素か、人要素かなどで個人の指向性がわかるかもしれません。(マネジメントの指向性)
SESの現場メンバーですと、ある程度「いわれたことをしっかりやる」でもOKな場合がありますが、一定のポジションになりますと、そもそも自分が指示する側だったり、問題化や改善意識がないと厳しい場合が多いです。
大事なのは「プロジェクトにとって本当に問題」なのか「ただ自分のおもう通りにやりたい」のか見極めが難しいときもあります。
見極めるポイントとしては、通常業務を当たり前に実行しているか(これができないのにあれやりたい、これやりたいとだけいう人も結構いるため)、問題点のリストアップとセットで改善行動をおこなっているか、などが指標になるかと思います。
そうでない場合、ただわがままな人、周りを振り回す人、評論家タイプの人になりむしろ有害です。
これまた習慣ですね・・・
意見調整力
適切な言語化が思いつきませんでした・・・相手と意見が衝突したときや問題点の指摘においてどのように話をすすめるかになります。
長く仕事をしていく上で(といいますか人生全般で)かなり大事なことかと思います。
- 人格と意見を切り分ける
- 自分の意見が一意見だという前提がある
- 相手の立場、事情を尊重した上で、建設的な議論を行う
- 問題点の指摘に関しては客観的な証拠をもとに行う
- 人格ではなく、行動に関しての問題点ということを前提に伝える
- 絶対的な正解はないということがわかった上であくまで最適とおもわれる根拠に基づき判断を行う
- 判断できないもの(価値観に該当するもの)は判断できない、仕事上の議論の対象ではないと理解している
のような態度が適切かと思います。
正直いいますと人間関係がそれほどできていないうちは自分がメンバーレベルでかつ求められなければ「自分の意見をいわない」ほうがいいケースも多々あると思っております。(職場の空気にもよりますが・・)
メンバーが多い場合、話し合って問題が解決するようなことはあまりなく(関係者全員がそのレベルに達していることは少ない)、意見だけをあつめてリーダーがトップダウンで決めるというのが現実的だとおもっております。(リーダーに決定権があるというのは「事実」なので。)
私の周囲(結果として私自身)はレベルが低かったのか、以下のような行動をする方が珍しくなかったです・・・
- とにかく相手を人格否定する
- 根拠なく自分がそう思う(そうしたいから)からというゴリ押し
- 開き直る、ごまかす
- 不貞腐れる
- 激昂する(いわゆるキレる)
- 暴力に訴える
- ごまかす
- 鼻で笑う、バカにする
仕事のみならず人生全般で身につくことなので、正直途中からかえるのはかなり難しいです。
以上、コミュニケーション能力としてあげられそうなものを列挙してみました。
人によって積極性、主体性などというケースが多いかも・・です。